優里の供養・3

父親が亡くなれば、京都の霊園に納骨される可能性が高い。

優里にとって恐怖の対象でしかなかった父親の骨が彼女の上に撒かれるのは可哀想だ。


それにこのあと、義兄さんとの交渉で分骨が許されたとしても父親の骨と混ざった土を持ち帰りたくない。

四十九日までに何とか優里の骨を救出したいと思う…

これは犯罪になるのだが…
やっぱり盗むしかないか。


しかし僕には優里の知らない新しい家族がいる。

相談せず、峰家のお墓に入れることは出来ない。

思いきって嫁さんに話してみた。



『結婚するときに私が言った言葉を忘れたんか?
胸の中にある優里さんの思い出も全部含めて、あんたを生涯愛してあげると言ったやろ?

ええやん。
何をぐずぐずしてるんや。早く助け出してあげぇや。
なんなら私も手伝うよ』



これは犯罪だから僕1人で行くよ
(;^_^A



『全部盗み出して、代わりにこのフライドチキンの骨でも入れたら?』



さすがにそれは…(;^_^A


霊園に防犯カメラが無いことは既に調べてある。

平日は管理人も不在だ。

誰もいない平日の雨の夕方…
新しい骨壺を持ち、大沢家のお墓を開けた。

納骨のとき無造作に骨壺を引っくり返したのだろう。
骨が三角の山になっている。

でもこれは僕にとって好都合だ。

山の上部は足の骨だと思う。

足の部分を少しだけ残し、そこから下は全部持って帰ってやる。

この中には、生まれてくる予定だった子どもの骨も含まれているかもしれない。


手に取った瞬間、僕の指に絡み付く粉々の骨は優里の骨だと分かった。

大粒の涙が僕のほほを伝う…


『君はこんな寂しい場所で30年も僕を待っててくれたのか…

ごめん…一緒に帰ろう』



骨壺に納め雨の霊園から走り去る。



檀家になっている寺のお坊さんに訳を話して2人分の戒名をつけてもらった。

1人は優里。
もう1人は生まれて来る予定だった子ども。

位牌の裏には

【俗名 峰 優里】

子どもは女の子だと分かっていたので優姫(ゆうき)と名付け、お墓と位牌に魂を移し変える法要を行った。

石碑にも2人の名前をきざんだ。

うちの会社から舞ちゃんと陽子ちゃんが参列してくれた。

先に逝ってしまった僕の両親の横に優里を納骨する。

これでお墓の中も少し賑かになるだろう。

自分の娘として大切にしてくれた両親と仲良く眠って欲しい。

いずれ僕もそこに行く。



つい最近のことなのだが…

義兄さんが

『高校時代の妹の写真が出てきた』

と僕の会社に持って来てくれた。


これはブレザーを着ているから高校三年のときの優里だ。

懐かしい…
この顔だよ…
写真を撮るときは、いつも寂しそうな顔をしてた。


これで遺影も作れる。


霊界とか死後の魂とか、僕はあまり信じていないけど、供養とは生きている者が納得できればそれでいいと思っています。


これでもう、僕は誰も恨む必要が無くなった。

誰かを恨んだり憎んだりする人生は疲れる。

あと何年生きるか分からないが、心に悪魔を宿さず穏やかに生きたいと思っています。



悪魔が宿った日・完



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