増える禁止命令

第2話


本屋の入り口に小中学生向けの付録つき月刊誌が積み上げられている。

落語の本は店の奥、趣味の棚に置いてあるのだが、すぐ横が成人雑誌のコーナーだ。

優里と待ち合わせのときは極力近付かないように努めている。



『ヒロ…
今、エッチな本の表紙を見てたやろ。裸の写真を見ること禁止!
…忘れたん?』



「おまえなぁ…
僕がこの場所に来るのを見計らって声をかけてるだろ?
どこに隠れてた?」



『隠れてへんもん。すぐ後ろにいてるのに気づいてくれへんかったやん。

見つけられなかったのは愛情が足りんからや』



「足りないッスか?(;^_^A

手に持っているのは料理雑誌?
表紙の写真…
見たこともない料理だね」



『これはピザって、言うんや。
イタリア料理のお店に行ったら食べれるらしいよ』



「美味しいのかな?
新しい食べ物がどんどん増えるね。

昨日、柳田さんが持って来てくれたアップルパイも美味しかった」



『貴子部長の家には外国映画に出てくるような大きなオーブンがあるんやで。

電子レンジもあったわ』



「電子レンジを持ってる家は、まだ少ないよ。
柳田さんの家はお金持ちなんだね。
あの人は綺麗な上に料理も上手なのか…すごいなぁ」



『…………( -_-)』



「知佳の家にもオーブンがあると言ってた。
あいつのクッキーも美味しかったなぁ」



『…………( -_-)』



「どうしたの?優里?」



『私だって料理ぐらいできるよ…
( -_-)』



「別にそんな意味で言ってないけど…あのぉ…優里さん…」



『気安く触らんといて。
私の体に触ること禁止って、言ったやろ…( -_-)

機嫌なおして欲しかったら約束しなさい。

今日から私の前で他の女の子を誉めるの禁止!』



「禁止だらけだね…
がんじがらめで身動き取れなくなりそう(;^_^A

わかったよ。
えっ?またそれ?
はーい…約束します」



『指切りげんまん♪嘘ついたら♪針千本♪目玉に刺す』



「それはイヤだ( ̄□ ̄;)!!

優里と付き合うのは大変だよ…

そうだ!優里と同じ中学出身の影山彩登美って知ってる?」



『影山彩登美……?
知らない…そんな子おったかなぁ?』



「新しく入部した女の子なんだけど、おまえのこと知ってたよ。

峰君の彼女は三室戸の大沢優里さんやろ?と言ってた」



『えーっ…誰やろ?思い出されへん。
家で中学の卒業アルバムを見とくわ』



「それと冬休みの合同練習をどうする?
洛中寄席は5ヶ月先だし、五条坂と後院南との会合も1月まで無いし…」



『冬休み中は原則クラブ活動休止やねん。観月橋もそうやろ?

合同練習って、言ってもヒロと2人で話してるだけやもんね』



「明日から冬休み…

だったら明日は僕の家に遊びにおいでよ。

父さんが勤めている会社が忙しいときは、母さんもアルバイトに駆り出されるんだ。
だから両親は、いないよ」


『行ってもええけど…
また狼に変身されたら困るし…
どうしよう』



「隣の部屋に弟がいるから大丈夫だよ。

でも信じられないと言うなら来なくていいよ。また来年会おうね」



『いけずぅ…
行かへんかったら来年まで会わないって、私を脅迫するんやね。

仕方ないなぁ…
ほな、昼過ぎに行くわ』





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